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2017年12月11日 (月)

StarTrekな未来医療を夢見て

今年、9月から、12年ぶりに製作されたスタートレックのテレビ新シリーズ(Discovery: DSC)の世界同時放映(Netflix)が開始された。1967年に最初のシリーズが製作されてから50周年を迎える記念ということだ。
劇場版は昨年10月、13作目のStarTrek “Beyond”が公開された。今は、スターウォーズの監督として有名な巨匠JJ.エイブラムスが新しいタイムラインを創作した3作目となる。 しばらく忘れていたStarTrekへの郷愁とでもいうべき思いと新しいストーリーへの期待に胸膨らむ今日この頃である。


私とStarTrekとの出会いは小学校時代に遡る。1969年4月、日本テレビで日曜日16時から始まったSFドラマ。それが邦題「宇宙大作戦」、23世紀を舞台にしたStarTrekのオリジナルシリーズ(TOS)である。あの独特な形の宇宙船と耳の尖った無感情なバルカン星人科学士官Mr.スポック、「私は医者だ、石工ではない!!」という名台詞を残した船医のDr.マッコイ、指揮官としては感情的で女好きのキャプテン・カークという今や伝説となっている3人組の活躍。初めて観る本格的なSFドラマに夢中になった。

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初代エンタープライズ号の艦橋クルー

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宇宙船USSエンタープライズ NCC-1701

なによりもそれまで定番だったタコ型宇宙人は必ず悪役として地球侵略を企てていたものだが、StarTrekに登場する地球外知的生命体は魅力にあふれ、進んだ科学技術で同盟を結んだ地球人を支援してくれる。もちろん敵対勢力も登場するが、多くは極端に異質な文明の相互不理解に起因する衝突だ。

初めて対峙する異文化に対して、本能的な拒絶反応を理性で抑制し、冷静で緻密な科学的調査に基づいて理解し、相互を認め尊重して友好的関係を築いていく惑星連邦の姿は(超光速のワープ航法により星系外への進出が可能な科学水準未満の文明には絶対不干渉の大原則があるが)、現代の人類が抱えている人種、宗教、イデオロギーに起因する対立の問題を克服し、エネルギーを物質に変換する技術により根本的に貧困や飢餓が存在しない楽観的未来として描かれており、子供ながらに理想の未来を感じて希望を抱いたものである。これを機にSFの世界の虜となった。

TOSは第2シーズンからフジテレビに移行し、1974年の春まで3シーズン79話が放映された。ちょうどこの頃、父が日本歯科大学新潟校設立のため当地に赴任し、家族も新潟市に越してきた。自分の生活環境の変化がドラマと重なり、幾分の勇気を得たものだ。

その後、7年ほどのブランクがあり、1980年、大学2年のときに劇場版第1作が公開された。映画はほぼ2年毎に第6作まで公開されたが、鳴かず飛ばず。部活に忙しくて観に行く暇もなかった。

卒後、大学院2年目の1987年、スポックの時代: TOSから80年後、24世紀を舞台にした新TVシリーズ(The Next Generation: TNG)が放映開始となる。ここから第2のマイブームが始まる。TNGはなんと7シーズン176話が放映され、スピンアウトした別シリーズ(Deep Space Nine: DS9 7シーズン176話)とこれに続く新シリーズ(Voyager: VOY 7シーズン172話)が2001年まで次々と放映された。その間、TNGのキャストで4本の劇場版が公開されるという、一代叙情詩が展開されたのだ。

元々収集癖のある私は見事にハマり、所謂トレッキーといわれるオタクと化した。VOY第5シーズンは新婚旅行先で妻に呆れられながら深夜一人でケーブルテレビを観た思い出の番組となる。

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ギャラクシー級宇宙艦 USSエンタープライズD のブリッジとピカード艦長

2001~2005年まで、TOS前の時代を描いた(Enterprise: ENT 4シーズン98話)が放映され、18年間の製作はここで一応一段落して、2009年のJJ.エイブラムス作品まで空白となる。

実に711話にのぼるエピソードが時系列でほとんど矛盾なく構成されている。ここまで来ると分厚い辞典や解説書が何十冊も刊行され、原書を含め私のコレクションはかなりの量になった。動画も初期のVHSは除き、レーザーディスク、DVD、ブルーレイと全作品を所有している。 (妻は虎視眈々と断捨離を狙っているらしい)

2001年当時、大学の研究室に残っていた私は、学生会のOBとして学園祭でシネマ研究会の主催するStarTrekの上映会に、FileMakerのスキルアップの題材として、エピガイ(Episode guide)を作って提供し、布教活動?も行っていた。
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FileMakerで作成した全作品の表題、あらすじ、脚本、キャスト、放映日等を網羅するデータベース
現在、少しずつ日本語版のデータを追加している

さて、本題である。
SFの世界では物語の中で想像された未来の科学技術が実際にはずっと早く現実のものとなって行くことがままある。50年前のStarTrekでも同様に23世紀を待たず21世紀の現代で実現しつつある物も多い。

スポックが持つ通信機はフリップ式携帯電話そっくりであるし、TNGで登場するPADD: Personal Access Display Device という端末はiPad等のタブレットそのものである。宇宙船のマザーコンピュータとはiPhoneのSiriのごとく会話でコマンドを実行する。船室の調光も音声コマンド。これもIoT: Internet of Thingsが普及するこれからの時代、既にgoogle homeApple HomePod等の音声による家電制御システムが販売されている。

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コミュニケーターの見た目は携帯電話だが軌道上の母艦に位置情報も伝える亜空間通信器である

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艦内の情報伝達はPADDと呼ばれるタブレットが使われている

医療技術に目を向けると、最近流行りのVR(Virtual Reality: 仮想現実)下でFFB: Force Feed-Back機構付き3Dマウスを利用したCAD/CAM技工や研修医の為の支台歯形成シミュレーションなどが既に実用化されている。

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HMD: ヘッドマウントディスプレイで立体視している対象歯に仮想空間でのインスツルメントを接触させると、操作しているペン型3Dマウスに触れている感覚が伝わり、圧力をかけて切削することができる。視覚+触覚の仮想現実(ハプティック技術)で非常に直感的で繊細なデータ加工が期待できる。

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ハプティック技術をCADに応用する為のペン型触感3次元マウス

さらに治療の場で実際の映像と診断画像の複合によるAR(Augmented Reality: 拡張現実)による手術支援も現実のものになっている。

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内視鏡からの映像を表示する医療用HMD

腹腔内視鏡での手術では間接的に術野を観るしかなく、写真のようにまるでSF映画の一場面のような光景が既に始まってる。

最近(2017年4月21日)の報道では、ICT企業とのコラボで実際の口腔内と3D構成されたCT/MR像をHMD上に合成し、見えないところを観ながら治療が出来るシステムのプロトタイプが発表された。 歯科での実用化も目前に迫っているようである。

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発表されたばかりの新しい歯科治療支援システム

さらにロボット技術との複合により、顕微鏡下でのマイクロサージェリーも精密で安全なものに進化している。これには遠隔治療の可能性もあり、まさに昨日までのSFの世界が今日の現実となってきている。今後の発展に期待したい。
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1999年から実用化されている手術支援ロボット “ダ・ヴィンチ”
術者は手術台脇のコンソールから内視鏡ロボットを操作する

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宇宙艦内の手術室とロボットプローブ現実の手術支援ロボットと似ている

StarTrekの世界では、3Dプリントで合成された人工臓器を移植したり、プログラムされたナノマシーンを血管に注入することで、病原を排除し、患部の組織を修復/改造するといった場面が登場する。

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移植臓器としてクリンゴン星人の脊柱をDNAから合成している場面 

これも、研究段階ではあるが、実際に培養細胞を使った3Dプリントによる組織合成(バイオ3Dプリンター)や分子レベルで動作を制御できるnano-machineが実際に試作されてきており、半世紀を待たずに実用化が期待できる。

最後にAI(Artificial Intelligence: 人工知能)。
StarTrekでは艦内の特定エリア(ホロデッキ)で光子−物質変換技術と重力子ビームを組合せて触ることのできる立体映像: Hologramを作ることが出来る。用途は娯楽から宇宙艦隊士官の訓練までさまざまである。

大型艦では医療室がホロデッキとなっており、ここにあるEMH(Emergency Medical Hologram: 緊急用医療ホログラム)は、ホログラムドクターと呼ばれ、緊急時には本物の医師と変わりなく医療行為ができる。生身の人間の姿の方が治療効果があるということでEMHにはリアルな人間の医師の姿と仮想人格が与えられている。

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VOYに登場するEMH “ドクター”ドラマではメインキャラとして活躍する

ヒト型ホログラムの実体はコンピュータに組み込まれたAIである。自律的に診断・治療を行うだけでなく任務中に遭遇した未知の疾患について調査・研究して治療法を確立することもあるという優れものだ。

現実のAIも負けていない。”Pepper”のように音声と視覚により相手の顔や表情、言語を認識して適切な会話、感情表現がある程度できるようになり、”ルンバ”のように自律的に機械を制御できるまでになった。
最近では、AIが囲碁のトップ棋士に勝利して話題になったが、これはDeep learning: 深層学習という新技術の成果で、Big Dataを与えることでAIが個々の情報同士を関連付け、その重み付けを変更する処理を重ねて物事を認識し、因果関係を推論できるようになったからだ。

自治医科大で2年後の実用化を目標に開発されている総合診断支援システム”ホワイト・ジャック”は、患者の症状から複数の鑑別疾患を挙げ、各疾患である確率も算出する。さらに確定診断に必要な検査や処方まで提案する。ER等で時間が無い中、医師の負担を減らし問診や身体診察といった機械にはできない部分に時間を割くことができるようになった。
東大のAI ”Watson”は、化学療法を半年続けたが効果が得られず病状が悪化していた急性白血病患者の診療データから、独自に臨床医とは異なる診断結果を提示。それを受けて医師が治療方針を変更したところ、劇的に回復したという実績もある。

5~10年後の近い将来、医師の診断、手術の支援システムとして医療AI、医療ロボットは欠かせない存在になっている可能性が大きい。

ヒトの想像力=創造力はポジティブに活用したい。Terminatorのような暗い未来ではなく(決してターミネーターが嫌いなわけではない、全作アクションとして楽しく観賞した)、StarTrekのような明るい未来、人類の精神と知性の双方が進化した未来を夢見、希望を持ち続けたい。

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長寿と繁栄を!

[この記事は新潟市歯科医師会会報電子版2017.5に寄稿したものを改編したものです]

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